自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:ASD)とは
自閉スペクトラム症の症状は幼少期から認められ、1歳半検診や3歳児検診で指摘されることがあります。
しかし、知的障害を伴わずに言語の発達が良好な場合は、小学校の通常学級に在籍することもあります。
こだわりが強い、同年齢の集団に馴染めない、感覚特性(感覚過敏)のため、行事への参加が難しいなどの困難を認めたとき、学校から医療機関受診を勧められたことがきっかけとなって、診断を受けることもあります。
自閉スペクトラム症の診断を受けたとしても、症状の現れ方や困難の程度は、こどもによって異なります。
診断は受けなかったが、その可能性があるという場合にも、こどもの様子を細やかに観察して、理解を深めていきたいものです。
保護者さまと学校、専門機関や外部機関の大人たちが、こどもとの関わりをとおして得た情報を共有することから始めましょう。
共有することで、いろんな気づきが得られます。こどもが安心して活動できるように、大人たちが協力して生活や学びの環境を整えます。さまざまな工夫をしながら、こどもの「できた!」を増やしていきましょう。
「コミュニケーションがうまくとれない」、「対人関係が苦手」、「強いこだわり」は、自閉スペクトラム症でよく知られている症状ですが、その一因には、感覚特性があると考えられています。
こどもと関わる大人たちが、感覚特性の実際を知り、理解することによって、さまざまな工夫や対処を試みることができます。
こどもの生活や学びの環境を整えたうえで、活動の見通しを視覚的に示す、指示は短く具体的に、指示を出す際の声の出し方など、こどもに合った接し方をみつけていきましょう。
こどもの生活や学びの環境を整えるうえで、感覚特性の視点は重要です。この記事は、「色」や「光」への配慮を含めた感覚特性(感覚過敏)の理解と対応についてまとめています。
自閉スペクトラム症の特徴
視覚の特徴
白い紙が読みにくい:
白い紙は、輝度(色の明るさ)が高いために刺激が強く、書かれている文字が「読みにくい」と訴えるこどもがいます。そんなときは、無地緑色の下敷きを重ねてみるとよいでしょう。
洋服の色で疲れる:
大人の洋服にも気をつけたいものです。鮮やかな黄色が眩しくて、その時は平気なように見えても、時間がたってから、ぐったり疲れていることがあります。こどもと関わる大人は、輝度の低い、やわらかい色の衣類を着用してみてください。
照明で疲労がたまる:
学校は、廊下も教室も照明がONになっていることが多いです。照明を異常に眩しく感じているこどもには、目を閉じるように促します。休み時間になったら照明をOFFにした部屋で、のんびり過ごすことができるよう、担任の先生にお願いしてみましょう。ご家庭では、調光・調色可能な照明にしてみるなど、できる範囲内で環境を整えましょう。
モニターで疲れる:
タブレットやPC学習のとき、眩しくて疲れてしまうことがあります。輝度と彩度を下げてみてください。また、「痛み」を感じている場合もあるので、音声読み上げ機能を使うなど、タブレット等の使い方を工夫しましょう。
太陽で疲れる:
太陽光にも目の疲れや痛みを伴うことがあります。お出かけの際には、こども用のサングラス着用を検討してみるとよいでしょう。
触覚の特徴
普通の人より過敏:
雨が痛いと感じることがあります。送風機(扇風機)の風にも、「痛み」を感じているかもしれません。洋服のタグや縫い目を苦痛に感じていることもあります。大人は、こどもを注意深く観察しましょう。
ふれあいが苦痛:
人から触れられることに苦痛を訴えるこどもがいます。親しみをこめたつもりの「肩をポン」には、注意が必要です。
聴覚の特徴
隣の部屋の音が気になる:
隣の部屋(教室)の音にも反応してしまいます。時計の秒針や空調の音、いろんな音が耳に入ってくるので、集中が切れてしまいます。「本を読みたい」、「勉強したい」という場面では、イヤホンや耳栓、イヤマフを活用してみましょう。
外の音が気になる:
電車や飛行機の音にも注意が向いてしまいます。相手の話を聞きたいと思っていても、「人の話を聞いていない」と思われることがあります。こどもの注意を大人のほうに向けてから、「座ります」、「読みます」など、短く指示を出してください。
声が苦痛に感じる:
声に苦痛を感じることがあります。大きな声だけでなく、女性の高い声が苦手なこどももいます。個別の関わりでは、こどもの様子を観察しながら、声の出し方にも工夫してみましょう。
いつもと比べて音に強く反応している場合、それは、こどもが疲れているサインかもしれません。体調の不良をうまく伝えられないこともありますので、一旦休憩をとり、こどもの健康状態を観察しましょう。
嗅覚の特徴
嗅覚が敏感:
特定の匂いに対して、その場に居続けられないほどの苦痛を感じることがあります。野菜や魚の匂い、通り過ぎた人の香水や柔軟剤の匂いなど、頭痛や吐き気を訴えるこどももいます。
味覚の特徴
特定の食感が苦手:
ネバネバ、カリカリ、シャクシャクなどの特定の食感を嫌がる、または、その刺激を好み、そればかり食べることがあります。いわゆる、「偏食」です。
変わった偏食:
白いご飯は食べないが、ふりかけご飯だと好んで食べることがあります。「家ではスープを飲まないのに、給食ではスープの日も完食」といったケースも珍しくありません。こどもが嫌がるものを無理矢理食べさせるのではなく、食感を変える調理方法を工夫してみてはいかがでしょうか。また、給食のスープがどんなものなのか、担任の先生に確認してみるのもよいでしょう。
ここまで、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚と、自閉スペクトラム症のこどもに多く認める感覚特性(感覚過敏)について、簡単にまとめました。「コミュニケーションがうまくとれない」などの症状の一因に、感覚特性があると考えられていることについては、すでに触れました。
こどもが感覚過敏による苦痛を自ら言葉で伝えるのは、とても難しいことです。ですから、保護者さまと学校、そして、外部機関のこどもと関わる大人たちが、日頃のこどもの様子を観察して、共有することが重要なのです。
共有することが、保護者さまの抱え込みや負担の軽減にもつながります。遠慮なく、積極的にお子さまの情報を共有してください。そして、自閉スペクトラム症に詳しい専門家へご相談ください。愚痴吐きも大歓迎です。
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