発達障害児テストで有名な情報サリー・アン問題を数種類作成しました

サリー・アン問題とは
「サリー・アン問題」をお子さんとやったことはありますか?
このテストは「相手の立場に立って相手の気持ちを考える」能力を測る心理検査として有名な問題です。
心の発達を見るために使われたり、自閉症の度合いを調べるために活用されたりしています。
できなかったからといって、これだけで自閉症だと断定するものではなく、弱点を知れるきっかけになる問題だと思ってください。
サリー・アン問題
① サリーはカゴを、アンは箱を持っています。
② サリーは自分の持っていたビー玉をカゴに入れて、散歩に出かけました。
③ アンは、サリーのビー玉をカゴから取り出すと、自分の箱に入れました。
④ 箱を置いて、アンは部屋を出ました。
⑤ サリーが散歩から帰ってきました。サリーは自分のビー玉で遊びたいと思いました。さて、サリーがビー玉を探すのはどこでしょう?
答えは「カゴ」です。
このテストは、自分の視点以外(サリーの視点)に立てるかどうか、そしてサリーの「ビー玉はカゴの中にある」という信念を理解できるかどうかという問題になっています。
定形発達の3歳児の正答率は50%ほど、6歳では95%の子供が正答できるようになります。
ですが、自閉症の子は6~7歳になっても間違えてしまう子が多くいます。他者の理解が苦手な子は、9歳ぐらいで正答できると言われています。
間違いやすいポイント
この問題の重要なポイント
この問題では、「サリーのビー玉がどこにあるのか?」を聞いているのではなく、「サリーはどこを探すのか?」を聞いています。
一連の流れを知っていれば、「サリーのビー玉が今どこにあるのか?」はすぐに分かります。
ですが、ここで聞かれているのはサリーの気持ちです。
サリーはアンが箱へビー玉を移したことを知りません。なので、サリーはカゴの中を探すのですが、このポイントに気付けるかどうかで、回答が変わってきます。
自閉症の子にとって難しいポイント
この問題で客観的な事実関係は、「サリーの知らないところで、ビー玉がアンによってカゴから箱に移されてしまった」ということです。
なので、最終的にビー玉は「アンの箱の中」にあるということが客観的な事実となります。
多くの自閉症の子は、この客観的な事実を答えがちなのではないかと考えられています。
この問題で正しい答えを導き出すためには、「ビー玉をカゴから箱へ移された事実を、サリーは知らない」ということを理解することが必要になってきます。
そのためには、サリーやアンがビー玉の行方について、どのように認識しているかを理解していく必要があるかと思います。
解決のヒント
理解しやすい方法
「サリー・アン問題」について、小さな目標を積み重ねて達成することで最終目標に近づき、理解を深めるスモールステップという方法があります。
サリーやアンがそれぞれどのように状況を認識しているか段階的に説明し、子供自身に考えさせます。
例えば、サリー・アン問題の
「サリーは自分の持っていたビー玉をカゴに入れて、散歩に出かけました。」
この時のサリーとアンの気持ちを一緒に伝えます。
『サリーもアンも、今ビー玉がカゴの中にあると知っています』
一緒にビー玉の位置も確認していきます。
『ビー玉はカゴの中』
「アンは、サリーのビー玉をカゴから取り出すと、自分の箱に入れました。」
アンの気持ち
『アンはビー玉が自分の箱の中にあると知っています』
いまは『ビー玉は箱の中』にある。
このように①~⑥まで一つずつ説明していきます。
また、「今ビー玉はどこにある?」「そのことをサリーは知っているかな?」など、質問をしながら、理解ができているか確認していきましょう。
理解力の訓練
絵本やアニメ、日常会話から質問してみます。
例えば、絵本を見ながら、「〇〇は、なぜこんなことをしたのかな?」「○○は今、どんな気持ちだと思う?」など、場面に応じて確認してみましょう。
うまく答えられない時は、詳しく説明して理解を深めていけるようにしてみてください。
根気はいるかもしれませんが、同じ質問をしてみたり、繰り返すことで効果が得られるようです。
他の問題に挑戦してみよう!
サリー・アン問題に慣れてきたら、他の問題にも挑戦してみましょう。
問題1:ユウタとミカ
ユウタとミカは家の庭で、ボールで遊んでいました。
遊びをやめて、ユウタはボールを赤い箱に入れ、公園へ遊びに行きました。
ミカは赤い箱からボールを出すと、家の中に持って行きました。
ユウタが帰ってきました。ユウタは、またボールで遊ぼうと思いました。さて、ユウタはどこを探すでしょうか?
答え
ユウタはボールが赤い箱の中に入っていると思っているので、赤い箱の中を探す。
問題2:ルイとミニカー
ルイはお気に入りのミニカーで遊んでいました。
ルイは眠くなり、ミニカーを床に置いて、お昼寝をしました。
ママはルイが寝ているのを見て、ミニカーをおもちゃ箱に片付けました。
ルイが目を覚ましました。ルイは、またミニカーで遊ぼうと思いました。
さて、ルイはどこを探すでしょうか?
答え
ルイはミニカーが床に置いてあると思っているので、最初に床から探す。
問題3:アイス
ハナとマリがテーブルでアイスを食べようとしていました。
その時玄関のチャイムがなったので、ハナは玄関に向かいました。
マリはハナのアイスを冷凍庫にしまいました。
さて、ハナは戻ってきた時、アイスはどこにあると思っているでしょうか?
答え
ハナはマリがアイスを冷凍庫にしまったことを知らないので、アイスはテーブルに置いてあると思っている。
まとめ
自閉症の子にとって「サリー・アン問題」は、苦手で理解することに時間がかかるというだけで、能力がないわけではありません。
「なんでこれができないんだろう」という疑問で悩んでしまうこともあると思いますが、どこが弱点なのか見つけられたら、そこをどうやって強化していけるだろうと考えることもできます。
大人であっても「相手の気持ちが分からない」「空気が読めない」なんてことはたくさんあると思います。
定形発達の子も自閉症の子も、大人も関係なく、コミュニケーション不足と言われている現代だからこそ、「サリー・アン問題」に触れて、お互いの気持ちを話し合ったり、思いやる気持ちを育てていくことで、この先の強みになっていけたらと思います。
学習の面においても同じく、弱点を見つけたらどう強化するか考えます。
家庭教師グッドでは、親御さんのお悩みを一緒に考えながら、お子さんにあった勉強への取り組み方を作っていきます。
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