発達障害ってグレー?軽度?どう説明すればいい?

「この子のこと、どう言えばいいんだろう?」「うちの子はグレーって言われたけど、どういうこと?」「軽度って伝えたら、甘えだって思われない?」「周りに説明したいけど、何をどこまで言えばいいのかわからない…」
そんな思いを抱えていませんか?
お子さんの特性を周りに伝えるのは、勇気がいることです。「ちゃんと伝えなきゃ」と思うほど言葉が出てこなくなること、ありませんか?
今回は、そんなモヤモヤを少しでもほどくために「グレー」と「軽度」の違いを整理して、無理なく周りに伝えるポイントをお伝えします。
「グレーゾーン」とは?診断のグレーってどういう意味?
グレーゾーンとは
「グレーゾーン」という言葉には、実は正式な医学的定義はありません。
発達検査の結果が診断基準ギリギリだったり、年齢が小さくて今後の成長をもう少し様子を見るべきだったりする場合に「グレー」と表現されることが多いです。
グレーの子が抱えやすい困りごと
診断がつかないからといって、困りごとがないわけではありません。
周りからは「ちょっと苦手なだけ」と思われがちで、支援が後回しになることも多いのです。
例えば…
・集団での指示が通りにくい
・お友達とのトラブルが繰り返される
・音やにおいが苦手でパニックになりやすい
そんな日常の小さな「つまずき」が、子どもを苦しめ、親御さんを疲れさせてしまうことがあります。
「軽度」って何が「軽い」の?
「軽度」は診断名がついている状態
一方で「軽度」というのは、発達障害の診断名は正式についているけれど、特性の現れ方が比較的「目立ちにくい」「程度が軽い」と専門家が判断している状態を指します。
ただし、ここでいう「軽い」というのは決して「困りごとが小さい」という意味ではありません。
日常生活の中で周りの手助けや理解があれば集団生活や学習にある程度適応できる、という「支援の必要度」が比較的少ない場合に「軽度」と表現されることが多いのです。
周囲に気づかれにくい難しさ
軽度と言われる子ほど、特性を理解されにくいという壁にぶつかります。
このようなことを言われた経験はないでしょうか。
「わがままなだけじゃない?」
「それくらい、頑張ればできるでしょ」
そんな言葉に、心が傷つくこともあったと思います。
子ども自身も「どうして自分だけできないんだろう」と自信をなくしてしまいやすいのが「軽度」と言われる症状の難しいところです。
「グレー」「軽度」の子が抱えやすい親の悩み
「うちだけなのかな」と思ってしまう
グレーゾーンや軽度のお子さんの特性は、一見分かりづらく、周囲に相談しても「気にしすぎじゃない?」と言われがちです。
でも、誰かに分かってほしいのは、わがままではありません。
お子さんの小さなサインを見逃さずに「どこで困りやすいか」を周りと共有することが大切です。親御さんが安心して相談できる場を持つことは、お子さんのためにもなります。
親が一人で背負いこまないために
全部を自分だけで抱え込んでしまうと、だんだんと「私が悪いのかな」と自分を責める気持ちが大きくなってしまいます。
苦しいときは、一度立ち止まって、
「誰に、どのくらい話したらラクになるかな?」
と考えてみましょう。
周りにどう説明する?〜具体例つき〜
診断名は言わなくても大丈夫
必ずしも「発達障害です」と伝えなくていいのです。
大切なのは「どんな場面で、どんなふうに困るのか」を相手に分かりやすく伝えること。
具体的に伝える例
・「大きな音が苦手で、避難訓練の時に泣いてしまうかもしれません」
・「予定変更が苦手なので、事前に教えていただけると助かります」
・「疲れやすいので、無理にみんなと同じペースは難しいです」
お願いしたいことを一緒に添えると、
相手もどう対応すればいいか分かりやすいですよ。
誰に何を伝える?整理してみよう
家族や親戚にはどこまで話す?
家族や親戚だからこそ、理解してほしいのにうまくいかないこともありますよね。
「全部は分かってもらえなくてもいい」
そう思って大丈夫です。
伝えるのは「必要なこと」だけでOK。
例:
「大人数の集まりが苦手なので、別室で休ませます」
「叱っても変わらないので、注意は控えてください」
先生や支援者に伝えるポイント
先生や支援者に話すときは、特性そのものだけでなく「その子に合う工夫」もセットで伝えましょう。
例:
「待つのが苦手なので、順番を変えていただけると助かります」
「視覚的に説明してもらえると理解しやすいです」
親御さん自身の気持ちを整理するステップ
説明する前に自分の気持ちを言葉にする
誰かに話す前に、「自分は何を一番分かってほしいんだろう?」
と自分の気持ちをノートに書き出してみてください。
書き出してみると、「全部話さなくても、ここだけ分かってもらえたら大丈夫かも」と思えることもあります。
伝えるのが怖いときは第三者に相談する
「うまく伝えられる自信がない」
そんなときは、保健センターの相談員さんや支援コーディネーターに相談してみてください。
一緒に言葉を整理してくれたり、必要なら先生に説明してくれるところもあります。
伝わらなくてもあなたのせいじゃない
分かってもらえなくても、大丈夫!
一生懸命伝えても、分かってくれない人がいるのは自然なことです。
相手が分かってくれないのは、あなたの説明が悪いわけではありません。
理解してくれる人に出会えたら、その関係を大切にしましょう。
「小さな伝える」が大きな安心になる
「グレーゾーン」「軽度」という言葉は便利なようで、親御さんを苦しめることもあります。
でも本当に大切なのは、お子さんがどんなことで困りやすいかを必要な人に、必要な分だけ伝えること。
言葉にするたびに不安になることもあります。
でもその一歩が、お子さんの安心できる居場所を増やしていきます。
すべてを完璧に説明する必要はありません。
あなたのペースで、一歩ずつで大丈夫です。
誰かに「助けて」と言えることは、弱さではなく、勇気のある強さです。