不登校のお子さんへの接し方と勉強方法
保護者の方がお悩みになることの1つとして、お子さんが不登校になってしまう、ということがあります。不登校とは、お子さんが学校へ行かなくなってしまうことです。理由は様々で、「病気や体調不良で通うことが難しい」というように、主に体調面が原因になっている場合もあれば、「人間関係などで学校生活がうまくいかない」などといった、精神面が原因になっている場合もあります。
学校へ通えなくなると、生活面などはもちろん、学習面でかなりの遅れをとってしまうことにもつながりやすいため、保護者の方はどのようにお子さんを導いていけばいいのか、悩んでしまいますよね。
今回は様々な理由が考えられる不登校の中でも、近年多くみられる、「人間関係などで学校生活がうまくいかずに学校へ通えなくなってしまった」というお子さんに対するアドバイスをご紹介します。
親は不登校にどう向き合えばいいか
不登校の原因の多くは、学校にある
まず最初に学校生活が原因となっている場合、具体的にどのような理由で不登校になってしまうことが多いのでしょうか。以下に挙げてみます。
学校生活からくる、不登校の主な原因
①友達とうまくいっていない
②クラスやグループなどで仲間外れになってしまった
③担任の先生・教科の先生と馬が合わない
④クラスの雰囲気が合わない
⑤勉強についていけない
学校生活から不登校になってしまう原因のほとんどは、学校での人間関係にあるといってもいいでしょう。友達付き合いがうまくいかなかったり、仲間外れにされたり。これらマイナスの要因は、保護者の方を心配させたくないためか、お子さんからすればなかなか言いづらいところです。したがって、よく様子を見ていないと、見つけにくいものです。
相談相手もいなくて、自分の中で抱え込んで、どうすることもできなくなってしまった挙句に、不登校という手段を選びがちです。学校に行きたくない、となってしまった場合、お子さんの中で何かしら防衛本能が働いていると考えるとよいと思います。
焦らず、じっくり。家庭内での会話を大切にする
不登校に対する不安要素を未然に解消するために、保護者の方には、普段からももちろん心がけてほしいことですが、お子さんと会話をする時間を十分に作ってほしいと考えます。
それでも不登校になってしまった場合、頭ごなしに「行きなさい!」という方法もあります。しかし、それではモヤモヤを抱えたまま学校へ行くことになり、いつかは同じことを繰り返してしまいます。保護者の方には、まずは焦らずにじっくりと、「学校へ行きたくない理由を聞きだすこと」をしてみていただきたいと思います。「なんで行きたくないの?理由を教えて」という聞き方よりは、「学校どう?」のような、ワンセンテンスで答えられるような聞き方が良いかもしれませんね。
家庭内でコミュニケーションがうまく取れない場合は
事情により普段うまくコミュニケーションが取れていない場合は、一緒にお出かけしながら気分転換をしたうえで、少しずつ聞いてみるといいですね。普段コミュニケーションが取れていなければ、お子さんも「いくら自分の親だからとはいえ」なかなか打ち明けられないものなのです。リラックスして、相談できるような雰囲気を作ってあげてください。
大切なのは、お子さんが元気で健康であること
普段、学校のテストなどで「何点以上取らなきゃダメよ!」などと、プレッシャーをかけすぎていませんか?要領の良いお子さんはテストに照準を合わせうまく乗り切りますが、勉強が嫌いなお子さんにとっては、プレッシャーになってしまいます。そのストレスに耐えられなくなり学校へ行きたくなくなる場合もあるのです。
健康で元気に過ごすのが一番と言ってあげる
お子さんに分かってもらいたいのは、学校での勉強もそうですが、なにより、「健康で元気に過ごしてもらうこと」です。まず、不登校になってしまったときは、「健康・元気でいてくれることが一番大切だよ」を強調して伝えていただくとお子さんも安心すると思いますよ。「勉強に遅れるから絶対に行きなさい!内申が悪くなるから行きなさい!」というのは、人間関係などがきっかけで不登校になっているお子さんにはなかなか厳しく、かえって学校に行きたくない気持ちを強めてしまいます。家でゆっくり休んで元気になったうえで、学校での人間関係などが不登校の原因なのであれば、ゆっくりと解決していけば大丈夫です。
生活リズムを整える
また、コミュニケーションを丁寧にとるのはもちろん大事ですが、不登校になると生活リズムが大きく乱れがちです。起床時間は少しゆっくりでもかまいませんが、それでも早寝早起きを習慣にすることや、3食しっかりと食べることが出来るようすることをサポートしてあげてください。
運動を適度にする
不登校になってしまうと、生活リズムが乱れがちですが、運動不足が原因になることも多いです。したがって、運動をすることも効果的です。「学校へ行けなかったんだから部屋から出ずに大人しくしていなさい」というのは、誤りです。運動はストレス解消の手段になるため、適度な運動は「うつ病」の患者さんの気分転換の際に指導される項目の一つです。適度に体を動かすことは、食欲や睡眠欲の促進にもなります。
勉強の機会を少しずつ生活に組み入れる
基礎の簡単な、毎日の習慣にできるような問題選択を
不登校の原因が学校の人間関係による精神的疲労であれば、元気を取り戻すまで勉強はしばらくお休みでも構いません。ただ、学校に行かないからといって完全に勉強をやらないというのも、学校に復帰したとき、また入試を迎えるときを考えると、かえって不安になってしまいますよね。
その場合は、1日15分でも30分でも構いませんので、毎日基本問題レベルのような問題をコツコツと演習していくことをおすすめします。不登校の時の勉強は、難しい問題や苦手な問題を無理して演習するよりも、ある程度自分でも解けそうな問題を反復して、自信をつけさせてあげる、ということが大切です。
少しでも、頑張ったことを認めてあげる
問題を選ぶ際、問題集の基本問題だけに特化して演習してもいいと思いますし、動画を視聴して新しい単元に挑戦するのも良い方法かもしれませんね。
特に、勉強が嫌いなお子さんが勉強を頑張っている場合は、15分という短い時間でも頑張ったことを認めてあげてください。不登校のお子さんは、承認欲求に飢えている場合が多いです。うまく気持ちを乗せてあげて、とにかくストレスフリーになるように導いてあげましょう。
塾や家庭教師で、社会に触れる機会を
塾は個別指導であっても、不登校のお子さんにはNG
不登校の期間が続いてしまう場合は、社会に触れる機会も少しずつ作ってあげましょう。勉強をきっかけにするのであれば、塾や家庭教師を利用するのもアリです。
しかし、不登校のお子さんを塾に通わせるのは、絶対におすすめしません。不登校で学校へ行けていないお子さんが、塾で長時間周りの友人がいるような空間で勉強できるわけがないからです。仮に、同じ学校のお子さんが同じ塾に通っているとしたら、「塾に来ているくせに学校へは来ない」などと他のところで言われてしまい、かえってお子さんを不安にさせてしまいます。
また、個別指導塾や同じ学校のお子さんがいない塾ならいいじゃないか、とも思ってしまいがちですが、万が一会ってしまったら、という余計な気を遣ってしまうことになります。
以上の理由から、塾通いはおすすめしません。
おすすめは家庭教師。寄り添った指導が可能
不登校のお子さんにおすすめなのは、家庭教師です。家庭教師であれば、お子さんに寄り添って勉強してくれるため、もちろん不登校という事情も理解してくれるはずです。そういったお子さんへの指導にも慣れているのが家庭教師です。また、こういった多感な時期に大人と会話をすることで社会に触れることは、不登校という引きこもりがちの閉鎖的な環境に身を置いているお子さんにほど、大切な経験となります。
扱う勉強の範囲も、難しい問題ではなく、それぞれの単元の重要なポイント、基礎的な問題を中心に行うにとどめて構いません。勉強面では自信をつける、生活面ではコミュニケーションを徐々に取って、話し相手を作ることが望ましいですね。そのように考えると、家庭教師の選択が一番おすすめです。家庭教師がすべての要望をかなえてくれるはずです。
まとめ
不登校の問題は、保護者の方一人ですべて何とかするのではなく、ぜひ信頼できる大人の力も借りて解決していってほしいと願っております。ただし、無理は禁物です。ゆっくりで構いませんので、お子さんにこの時期を乗り越えてよかった、と思ってもらえるよう、最大限のサポートをしてあげてください。