最近よく聞く、グレーゾーン(境界知能)とは?グレーゾーンの子のための学習方法も解説

「子どもがグレーゾーン(境界知能)で苦手なことが多くて学力が心配…」
「グレーゾーンの子どもに最適な学習方法が知りたい」
グレーゾーンは、IQ70以上85未満の人を指しています。学習内容が理解できなかったり、運動や細かい作業が苦手だったりなど、他の子どもと同じように生活することに難しさを感じることも少なくありません。
そこでこの記事では、最近聞くことが多くなったグレーゾーンとはなにかを解説します。さらに、グレーゾーンの子どもの学力を向上させる学習方法もお伝えするのでぜひ参考にしてください。
グレーゾーン(境界知能)とは?
グレーゾーン(境界知能)は、IQ(知能指数)70以上85未満の方を指した言葉です。なおグレーゾーンは、あくまで通称であり、医学的な診断名ではありません。
知的障害は、以下のようにIQの数値によって判定されています。
IQと分類
~20…最重度知的障害
21~35 …重度知的障害
36~50 …中程度知的障害
51~69…軽度知的障害
70~84…境界知能
85~…健常者
以前は、グレーゾーンに該当するIQ70から84の方も知的障害であるとされていました。しかし、現在ではIQ70未満に変更され、その結果としてIQ70から84の方をグレーゾーンと呼んでいます。
グレーゾーンに該当する方は日本だけでも約1,700万人いるとされており、人口比では約14%にもなります。35人のクラスであれば、1クラスあたり約5人がグレーゾーンということ。
グレーゾーンに該当する子どもには、一般的に以下のような特徴を持っています。
- 学習内容を理解しにくい
- 他人の言葉を誤解してしまう
- 友達作りが苦手
- 運動が苦手
- 細かい作業が苦手
いっけん、問題のないように社会生活を遅れているように見えるグレーゾーンの子どもですが、学習だけではなく生活にも支障をきたすことも多いです。その結果、学校に通いにくくなり不登校になるケースも少なくありません。
グレーゾーンは公的支援を受けにくい
「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)」には、知的障害の診断基準が変化し「IQだけでは判断しない」と書かれています。しかし、軽度知的障害なのか、それともグレーゾーンなのかを正確に診断できる医師はまだ少ないのも事実。その結果、主にIQだけで知的障害ではないと診断されるケースが少なくありません。
知的障害に該当すると、以下のような公的支援が受けられます。
- 自立支援医療制度(精神通院医療)
- 障害年金
- 医療費の自己負担軽減
- 税金の控除
- 公共サービスの割引
- 障害者雇用枠での就職
- 就労移行支援
たとえば、自立支援医療制度(精神通院医療)の場合は、精神通院医療の通院における自己負担が1割です。公共サービスの割引は、NHK受信料やJRなどの鉄道料金、航空会社の料金などが該当します。
【タイプ別】グレーゾーン(境界知能)児のための学習方法
グレーゾーン(境界知能)児の場合、勉強がうまくいかず学力が低下することも少なくありません。
こちらでは、グレーゾーン児のタイプ別勉強法を解説します。
【前提】まずは子どものことを理解する
前提となってくるのが、子どものことをしっかりと観察し正確に理解することです。
- 苦手なことは何か?
- 得意なこと、好きなことは何か?
- どんなときに癇癪(かんしゃく)をおこすのか?
- どのような状況のときに不安になっているか?
- 何があると落ち着きがなくなるのか?
子どもの状況や課題が明確に見えてきたら、子どものタイプ別に適切な学習方法を実践していきましょう。
読みが苦手な子どもの学習方法
教科書を読む、参考書を読む、問題文を読むといったことが苦手な子どもには、単語や短文に区切る学習法がおすすめです。漢字を覚える際は、「へん」と「つくり」を分解して覚えるのも効果的。
親や塾講師、家庭教師が一緒に読むのも良いですし、お手本の音声をスマホのレコーダーなどに録音して聞かせるのもよいでしょう。
字を書くのが苦手な子ども学習方法
親や講師が漢字書き取りの下書きをしてあげるのがおすすめです。
グレーゾーン(境界知能)児にとって難しいのが、漢字の書き取りになります。文字のカドの認識力が低い子どももおり、正しい文字が書けないケースも多いです。
下書きがされていれば、まずはなぞるだけなので簡単。繰り返すことで、徐々に漢字も覚えられるようになります。
記憶が難しい子どもの学習方法
算数の公式が苦手であったり、漢字がなかなか覚えられなかったりなど記憶が難しい子どもには、ICT(情報通信技術)や支援ツールを活用した学習がおすすめです。
たとえば、漢字の認識力が低い子どもにはタブレットの辞書アプリを活用するとよいでしょう。算数の公式が覚えられない子どもには計算の手順カードや九九表を作って、そちらを見ながら計算を繰り返させましょう。徐々に宿題や学習にスムーズに取り組めるようになります。
集中しにくい子どもの学習方法
勉強時間を細かく区切るのが効果的です。したがって、短時間で終わる教材に取り組ませましょう。
周りにテレビやスマホ、ゲーム機などがあると集中を妨げることになるので勉強の邪魔になるものは排除し、静かな環境を提供してください。
塾に通わせる場合は、集団ではなく個別(マンツーマン)に対応しているところがおすすめです。
こだわりが強い子どもの学習方法
ASD(自閉スペクトラム症)の傾向のあるグレーゾーン(境界知能)児に多いのが、こだわりの強さです。新しいことが苦手などの特徴もあります。
まずは、本人が意欲を感じている内容を中心に勉強させましょう。教材の量も重要で、本人が満足する量を確保してください。また、図や絵など視覚情報を取り入れた教材の活用もおすすめです。
ASD(自閉スペクトラム症)の傾向のある子どもには、事前に予定がわかっていると安心して取り組める傾向があります。したがって、勉強の予定表を作り、やることを明確にしておくのも効果的です。
まとめ
グレーゾーン(境界知能)は、IQ(知能指数)70以上85未満の方を指した言葉です。字を覚えたり書いたりが苦手など、勉強で遅れを取ってしまうグレーゾーン児も多く、悩んでいる親御さんも少なくありません。
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