ADHDのお子さんとの関わり方!イライラを減らして楽しく子育て
ADHDの特性を持つお子さんとの接し方に困っていませんか?「忘れ物の多さや落ち着きのなさが心配」「勉強が苦手で、これからが不安…」「ついイライラして叱ってしまう」など、日常生活でも、学校生活でも、悩みは尽きませんよね。
今回は、公認心理師・臨床心理士である筆者の視点から、ADHDのお子さんとの接し方のポイントをいくつか紹介します。少しでも参考になれば幸いです。
ADHDとは?
ADHD(注意欠如多動症/注意欠如多動性障害)とは、「不注意」「多動性-衝動性」の2つの症状が見られる、発達障害のひとつです。
「不注意」の特徴
- 集中できない
- 忘れ物、なくしものが多い
- 予定や約束をすぐ忘れる
- 整理整頓が苦手 など
「多動性-衝動性」の特徴
- 落ち着きがない
- 座っていられない、座っていても手足や体を動かす
- 順番が待てず、友達とトラブルになる
- 相手が話し終えるまえに話し始める など
ADHDと一口に言っても、不注意の症状が強く出る「不注意優勢型」、多動性-衝動性の症状が強い「多動-衝動性優勢型」、両方の症状が見られる「混合型」など、お子さんによって症状の出かたは様々です。ADHDは女の子よりも男の子に多く、女の子のADHDの場合は、不注意の特徴が見られやすいと言われています。
ADHDの原因は、脳の機能の偏りです。ADHDのお子さんは「だらしない」「もっと気をつけなさい」「どうしてできないの?」などと言われてしまいがちですが、決して「怠けている」わけではありません。お子さんご本人は十分頑張っていても、脳の機能の偏りのために、周りと同じように行動することが難しいのです。
また、お母さんも、周りから「しつけができていない」「育て方の問題」などと言われてしまったことはありませんか?しかし、このような言葉は大間違いです。ADHDの症状は、子育ての仕方が原因ではありません。お子さんご本人と同じように、もしくはそれ以上に、お母さんも困っているし、頑張っているんですよね。
どうかご自身を責めないでいただきたいと思います。
接し方のポイント
ここからは、ADHDのお子さんとの関わり方のポイントについて、お子さんの症状タイプ別にいくつかご紹介していきます。
不注意優勢型ADHDのお子さんへの接し方
気が散る原因をなるべく減らしましょう
不注意優勢型のお子さんは、「宿題をするぞ!」と机に向かっても、気が付いたら目の前のマンガを手に取って夢中になってしまっていたり、隣の部屋できょうだいが遊んでいる声につられて机を離れてしまったりと、周りの刺激に気を取られて、宿題のことが頭から抜けていってしまいがちではないでしょうか?
「宿題をする机には、今使う教科書とプリント、鉛筆、消しゴムだけを置く」「イヤホンなどを付けて、周りの音を遮断する」など、できる限り気が散る原因を取り除いて、集中できる環境を作ってあげましょう。
ルールを決めて習慣づけましょう
不注意優勢型のお子さんは、物の管理が苦手で忘れ物が多くなってしまいます。そこで、「ノートや教科書は、教科ごとに分けて引出しにしまう」「夜、寝る前に、ランドセルの中身をお母さんと一緒にチェックする」など、ルールを決めて、お母さんと一緒に準備をするようにしてみましょう。
毎日繰り返すことで、だんだんと習慣づいて、自然に忘れ物が少なくなります。
持ち物を減らしましょう
管理しなければならない物の数を減らすことも効果的です。「学校からの配布物はとりあえず全部このファイルに入れる」「全教科のノートを一冊にまとめる」「持っていく鉛筆は1本だけ。
もし学校で折れたら、削って使う」など、学校の先生とも相談しながら、試してみてくださいね。
多動-衝動性優勢型ADHDのお子さんへの接し方
動きたくなるタイミングをつかみましょう
多動-衝動性優勢型のお子さんは、じっとしているのが苦手で、ついつい体を動かしてしまいますよね。
何分ぐらいの間、じっとしていられそうでしょうか?また、どんなときに多動が出やすいですか?お子さんの様子を観察して、お母さんがタイミングをつかむことができれば、そのタイミングに合わせて休憩時間を設けるなど、お子さんが集中しやすい形を取ることができます。
先の見通しを立てて伝えましょう
多動-衝動性優勢型のお子さんは、順番を待てなかったり、相手の話を最後まで聞けなかったりすることがあります。「あなたの順番は3番目だよ。
あと○分くらいであなたの番が来るよ」「お母さんは今から2つお話をするよ。まず一つ目は~」というように、お子さんが「自分はどれくらい待てばいいのか」を理解できるような声掛けをするのがおススメです。
不注意優勢型ADHD、多動-衝動性優勢型ADHD、混合型ADHD共通の接し方
わかりやすく、一つずつ伝えてみましょう
ADHDのお子さんは、情報の取捨選択や、長い話を聞くこと、抽象的な指示が苦手です。そのため、「早く宿題をやりなさい」よりも「おやつを食べ終わったら、○時○分までに△△を終わらせようね」と、時間や順序を伝えて、具体的な声かけをしたほうが理解しやすくなります。
紙に書き出してみましょう
ADHDのお子さんは、聞いたことをすぐに忘れてしまったり、やるべきことよりやりたいことを衝動的に優先してしまったりすることがあります。
うっかりミスを防ぎ、物事の優先順位がわかりやすくなるように、「明日のお出かけスケジュール」「今日のやることリスト」など、お子さんと話し合いながら、紙に書き出してみましょう。
小さなことでも褒めてあげましょう
ADHDのお子さんは、叱られる機会が多いことや、周りの子と同じようにできないことから、「どうせ自分はできない」と自己肯定感が低くなってしまいがちです。
そのため、お子さんが自信をなくさないように、どんなに小さなことでもたくさん褒めてあげることが大切です。
「○○ができたね」「前よりもここが良くなったね」「頑張ったね!」と、たくさん声をかけてあげてください。「これができた日はカレンダーにシールを貼る」など、頑張りを可視化するのもいいですね。
周りを頼って、お母さんの負担を減らしましょう
毎日お子さんと向き合っていると、お母さんはついつい焦ったり、イライラしたりしてしまうもの。毎日本当にお疲れ様です。一人で抱えこまず、学校の先生やカウンセラーなど、周りの協力をあおいでくださいね。
協力して、統一したかかわり方をすることは、お子さんの生活しやすさにもつながります。
ADHDのお子さん、Aくんの宿題のしかた(事例紹介)
ADHDのお子さんに関する困りごとの中でも特に多いのが、勉強のことです。「授業中、席から離れてしまう」「宿題がなかなか終わらない」「思うように勉強できず、かんしゃくを起こす」などなど…。
ここで、筆者が実際に関わった、ADHDのお子さんの事例を紹介します。
小学1年生のAくんは、検査や診断はまだ受けていないものの、ADHDの傾向が見られるお子さんでした。なかなか集中力が続かず、家でも学校でも、課題を終わらせるのにとても時間がかかってしまいます。
担任の先生は「まだ1年生ですし、長い目で見ていきましょう」と言ってくださっているとのことでしたが、お母さんがAくんのことをとても心配して、当時筆者が所属していたカウンセリングルームにA君と一緒に相談に来てくださいました。
一通りお話を伺った後、Aくんに実際に算数の宿題を解いてみてもらいました。Aくんは慣れないカウンセリングルームということもあって、きょろきょろと周りを見回す動作が目立ちました。
宿題をしようという気持ちはあるようですが、どうしても目が滑ってしまうようです。
引き算の問題が20問ほど並んだプリントでしたが、1問1問順番に解くということが難しい様子でした。そこで筆者は、Aくんとお母さんの了承の上で、プリントをコピーさせてもらいました。
そして、そのプリントを、1問ごとに切り分けてみました。ちょうど、単語帳のようになったばらばらのプリントを、1問、Aくんに渡して「今はこの問題を解こうね」と伝えてみると、すんなり答えを書いてくれました。
情報量が少なくなったことで、先ほどより取り組みやすくなったようです。「すごいじゃん、Aくん!できたね!」思い切り褒めて、次の問題を渡すと、こちらもスムーズに回答。
また褒めて、次の問題を渡す、ということを繰り返していくと、Aくん、無事に宿題を終えることができました!
この事例からもわかるように、ADHDのお子さんは、勉強の仕方や環境を少し工夫するだけで、勉強がしやすくなる場合も多いのです。
まとめ
家庭教師のグッドは、そんな、支援や工夫が必要なADHDのお子さんにぴったりです。勉強が苦手なお子さんに特化した家庭教師のグッドでは、ただ勉強を教えるだけではなく、そもそもの勉強の仕方や、勉強へのやる気づくり、勉強に集中できる環境の作り方など、ゼロから一緒に組み立てていきます!
まずは一度、無料の体験授業を受けてみませんか?お子さんやお母さんの困りごとを聞いて、お家や学校で楽しく過ごせるように、一緒に考えさせていただければと思います。